問われる賞与の意義・年俸制サラリーマンの賞与

4月 17th, 2003

「賞与」の本質は何なのでしょうか。業績分配なのでしょうか、労働の対価として当然のものなのでしょうか、経営者の施しなのでしょうか。

最近は年俸制のサラリーマンが増えています。bird発行人にも年俸制サラリーマン時代がありました。年末にボスから年俸提示を受けて交渉します。そして決まった年俸を16で割って、12回の給与と2ケ月分賞与を2回にします。年俸が決まっているのですから12で割ればいいのですが、これが世の中の普通なのでしょう。

最大の理由は「賞与がないとなんとなく寂しいから」でしょう。二番目の理由は「社会保険料の負担が少ないから」です。

これまでは給与に比べ賞与に課される厚生年金保険料と健康保険料の保険料率は極めて低率でした。だから同年収でも賞与割合が高ければ負担保険料は少なく手取年収は多かったのです。会社にとっても会社負担の社会保険料が少なくてすみます。

4月の給与からサラリーマンの手取が増えるはずです。保険料率そのものは多少引き下げて、同じ保険料率を賞与に対しても課することになったからです。賞与の二番目の理由は消えうせました。

もはや年俸制企業での経営サイド財務サイドに立てば賞与制度は面倒なだけです。資金繰り上でも年2回の支出は問題の原因です。今回の改正で企業にとっての賞与の存続意義は大きく薄れました。年俸を16で割らずに12で割る会社が増えるでしょう。

(金財ファイナンシャルプラン2003.4月号)

そこまでもやるのか不動産取得税の課税実務

4月 17th, 2003

不動産を競落しても登記しなければ登録免許税不要です。しかも不動産取得税や固定資産税について自治体がスムーズに課税をできません。

東京都主税局はこのケースに対して、東京都が登録免許税を東京地裁に仮払いし、競落人名で登記し、その上で不動産差押えを実施しました。けっこう東京都も頑張っているようです。(納税通信2003.3.24)

養子縁組も離婚結婚も本人確認徹底

4月 17th, 2003

現行戸籍法では、第三者でも養子縁組や結婚離婚届出が可能です。これを悪用して他人の架空の養子を届け出たうえで戸籍謄本などを取得しそれらをもとに借金する事件が増えているそうです。

法務省は写真付身分証明書提示を義務付け、提示ないときや第三者申請のときは届出内容を本人に通知します。当然といえば当然。やっと今ごろになって…といったところです。(日経2003.3.18)

資産家独居老人には注意が必要です。第三者により、形式上の転居を重ね、新しい印鑑登録をされ、公正証書遺言までつくられてしまう…なんていうこともありえ、それは本人死亡後に始めて発覚します。

競馬の当たり馬券が税務署にバレそうな時代

3月 20th, 2003

中央競馬では1着から3着まで当てる仕組みを始めています。高配当となり100円で145万円配当(14500倍)のレースもありました。さてこの145万円は所得税の一時所得の課税対象です。ちなみに他のレースの損失と「損益通算」することはできません。当たりだけ課税され、負けは無視されるというむごい税制です。とはいっても「競馬の当たり」を正直に申告した人はどれだけいるのでしょうか。

日本中央競馬会の電話投票は一般化しました。銀行口座で馬券購入払戻です。税務署がその口座さえ押さえたならば課税はしやすいはず。「あなたは何月何日第何レースで大穴を当てましたね。おめでとうございます。ついては所得税の確定申告書をお届します。」といった郵便が税務署から届くことにもなるのでしょうか。中央競馬地方競馬の配当金に当局の目はくぎ付けだそうです。(納税通信2003.2.24号)

ある離婚への国税不服審判所の裁決

2月 20th, 2003

離婚で財産分与を受けると贈与税の対象となると思った妻がいました。一人で贈与を受けると贈与税が重いので、自分と長男と次男と3人に分割して夫から贈与を受けました。たしかに基礎控除額も3倍になるし、税率も下がるでしょう。そうして贈与税118万円を申告納税をします。

実質は離婚の財産分与のようです。離婚の財産分与ならば非課税なのです。分割贈与などという小手先の対策をしたがゆえ余分な贈与税を払ってしまいました。堂々と「財産分与」とすればよかったのに。

「あれは本当は贈与ではなく財産分与だったのだから非課税のはず。払った贈与税を返してください。」と税務署に訴えましたが、贈与としての法形式を自分で整えたのだから贈与であり贈与税は返さないよ、とつれない結論となりました。

(国税不服審判所平成13年3月30日裁決)

給与所得控除はサラリーマン優遇税制

2月 6th, 2003

「問題は源泉徴収だけではありません。サラリーマンの経費として収入に応じて差し引く『給与所得控除』も問題です。現在のサラリーマンの必要経費の概算控除は、どう考えても多すぎる。これでは誰も経費や税に関心を持ちません。」(週刊ダイヤモンド2003.1.13号 青山学院大学教授 野口悠紀雄氏)

源泉徴収制度ばかりでなく、サラリーマンに有利すぎる税制がサラリーマンの税に対する関心を失わせているといっています。

サラリーマンの必要経費といわれている給与所得控除額は年収500万円のサラリーマンなら年154万円、年収1000万円なら220万円。それぞれ月額にすると12.8万円と18.3万円。確かに普通のサラリーマンがそれ程多額の経費をつかっているとは思えません。そして社宅や官舎その他福利厚生メリットは非課税です。退職金は大優遇。零細個人商店やアパート経営者等の個人事業者に比べ、サラリーマンが優遇される税制なのは事実です。もちろん個人事業者が正しい申告をしているかの指摘はありますが。

国税OBが国税ではなく地方税を徴収する

1月 30th, 2003

国税を退職した国税OBを採用している自治体が50以上あるそうです。国税に採用されると部門は違ってもずっと税金の仕事をします。ところが市役所に採用されると税務課に勤務しても次は福祉や建築の担当だったり、と違う仕事をします。それだからでしょうか「徴収のプロと呼べる職員は育たない」のだそうです。そして国税OBには「差し押さえた不動産の処分一つとっても、どうすれば効率的にできるのかアドバイスしてもらえる」そうで、徴収強化に役立つそうです。(日経2003.1.3)

滞納した税金の扱いも確かに地方税は緩やかです。「本税は払うから延滞税を負けて」のお願いが地方税では通ることも多々あります。しかしそれと同じことは国税ではなかなか難しいことです。これからは地方税ももっと厳しくなるのでしょうか。

国税内部で語り継がれる税務調査「いろは手引き」

12月 19th, 2002

「一枚の メモが何より 物を言い」

…税務調査においては、どんな細かいメモでも解明できるまで捨てない

「理にかなう 話の裏に 不正あり」

…理路整然としすぎた説明は逆に怪しい

「顔色で わかる不正の 隠し場所」

…相手の顔色・動作には細心の注意を払う

「たたかれて 強くなるのは 脱税者」

…たたかれると次の新しい手口を考えるので、常に調査法の研究を

「襟正せ 相手は親と 同世代」

…とかく態度が大きくなりがちな調査官。しかし、相手は年長者が多く、従業員を使用している企業の長であることを念頭に

「気にするな 是認と増差は運次第」

…自分が是認で終わっても、不正をしている相手なら次の担当者が発見してくれる

(納税通信2002.8.12号)

「金持ち優遇」についての税制調査会の議論

9月 26th, 2002

税制調査会で「金持ち優遇」についてキワドイ議論が数10分続いたそうです(納税通信2002.9.30号)。

どんな議論なのかと思ってbird発行人が議事録から調べてみました。それは2002年4月12日の政府税制調査会第10回基礎問題小委員会でした。生前贈与の贈与枠拡大についての委員同士の議論から次のように抜粋しました。

税制調査会も結構ディープな議論をやっています。

○例えば4,000 万円の家を贈与すると1,400 万円ぐらい(税金が)かかると。4,000万円ぐらいの家というのは資産家とは言えないですね。中層階級ですね。非常に多い世代です。…

○貸家で一生を過ごす人、まだいっぱいいるのよ。借家でやってる人。…

・・・・・・

○私、赤貧洗うがごとき家で育って、親から一銭も援助を受けないで小さいマンションを買ったわけです。ですから、住宅の贈与というのは昔から腹が立ってしようがないんですよ。反対です。…

○委員ほど貧しくはないのですが、僕も結論的には、生前贈与をさせるという税制は反対です。…

○きょうは、臨場感あふれた御意見がいっぱい出ましたね。…

税務署の職員が税務署に勝訴した

9月 5th, 2002

札幌中税務署に勤めていた職員が名寄税務署に転勤を命じられました。公務員宿舎に転居しました。この職員には札幌にローンで購入した新築マンションを所有し、ローン控除を適用していました。ローン控除は生活の本拠としてそこに住んでいることが前提です。はたして名寄に転勤した後も札幌のマンションに住んでいるといえるのか、での争いです。

税務署は「職員が名寄税務署に勤務している限り、継続して同マンションで生活することは物理的に不可能」。税務職員は「宿舎は平日の仕事を行うための滞在場所としてのホテル代わり。公務員宿舎で職員と顔をつきあわせることにへき易していたため、金曜日の勤務終了後は安住の地である同マンションの直行して週末を過ごした」のだからこのマンションが生活の本拠。札幌地裁は平成14.6.28判決で税務職員に軍配を上げました。(納税通信2002.8.19号)

判決内容にも興味深いものです。しかしもっと興味深いのは訴えたのが税務署の職員だということ。一般サラリーマンならここまで踏み切れるか。「訴訟」に至るまでに「税務署への異議申立」「国税不服審判所への審査請求」を経ているはずですから。そして何より訴えの相手は自分の勤務先なのですから。